プリ菅12AX7の1本だけでスピーカーがなるギターアンプ!
0.1W 出力!
Fender 真空管アンプChamp5F2(5F1)タイプ!
しかし、プリ菅12AX7本だけ!パワー管なし!(6V6GT、EL34など)
デジタル部分を一切含まないシンプル回路!(ダイオード整流ではあります)
なのに、家庭用ギターアンプとしてしっかり実用!
しかけは謎の出力トランスGF-02S!
秋葉原の東京ラジオデパートにあるゼネラルトランス(旧ノグチトランスを継承)の真空管ギターアンプキットです。
キットのリンク先です。回路図や実体配線図、取扱説明書も見ることができます。
https://www.gtrans.co.jp/SHOP/GA-01R.html
格安で初心者にも実体配線図を見ながら簡単に作れます。
ここで紹介するのは、キットを手持ちのパーツを使って、一部改造した製作記事です。
目次
- 1 オリジナルキットを買って製作で変えたところ 2023年版
- 2 変更した回路図 2023年版
- 3 簡易エフェクター機能回路ってなんだ?
- 4 ヘッドフォーンはつなげるの?
- 5 内部配線です(2021年もの)
- 6 ラグ版の配線(2023版)
- 7 態配線図 2023年版
- 8 オシロスコープで波形観察
- 9 シミュレーションソフト LTspice で波形観察。
- 10 Fender 5F2のトーン回路と同じ簡易版
- 11 Fender AA764 タイプのトーンコントロール回路に改造も面白いかも
- 12 スピーカーは、8Ω 5W以上で で小口径の方が練習向きかも
- 13 12AX7 シングル チューブ ギターアンプ GA-01R の面白さはシンプルさにあり!チューブギターアンプの基礎も学べます!
- 14 改造に使ったパーツの購入や参考になる本
- 15 まとめ
- 16 関連
オリジナルキットを買って製作で変えたところ 2023年版
以下のことですが、オリジナルより性能がよくなったなんてことはありません。ツマミ一つでも変えてみたくなる性分です。
★電源回路→MOS-FETのリップルフィルター回路で直流に変換したこと。(MOSFET初体験!Facebookグループ「真空管ギターアンプ製作センター」で製作されている方に触発されました。)
→2022年に 2SK3767に交換しました。
→2023年に mosfetをやめて、CRパイ型3段リップルフィルターにしましたしました。電源トランスが200VのためB電圧が260V以上とれないため。
★トーンを完全に切り離せるスイッチを付けて、OFFにするとFender Champ 5F1 タイプにもできるようにしたこと。トーンは5F2と同じです。
★簡易エフェクター機能追加したこと。(2023年追加)これは林正樹氏の「真空管ギターアンプの工作・原理・設計」にある8Ωダミー抵抗を使う方法を簡易化したものです。
(現在、氏(師)のFacebookグループ「真空管ギターアンプ製作センター」のメンバーです。勉強させていただいてます。)
★手持ちのパーツに交換したこと。スイッチクラフト12A、alpha ポット、チキンヘッド、CR類のほぼ全部。
★配線は、回路図をみながらの全くの自己流の配線です。(2023年に平ラグ板使用に変更しました。)
★シールをべたべたと貼ったこと。
変更した回路図 2023年版
オリジナル回路図は、ゼネラルトランスさんのサイトで見られます。
【2023年に簡易エフェクター機能(True Bypassは無し,ボリューム無し)を追加して電源部も見直しました】
2023年に電源をπ型3段のリップルフィルターに変更しました。B電圧がmosfetの場合260V以上取れないため。
この3段リップルフィルターは、ぺるけ氏の「大人の自由空間 電源とアースの設計」を参考にしました。http://www.op316.com/tubes/myamp/desgnbe.htm
はじめてMOS-FET(2SK3767)を使ったリップルフィルター回路に挑戦しました。(2021年時)
2022年に ぺるけ氏(師)の本「真空管アンプの素」に合わせて、FETを交換して組みなおしました。
Rの求め方
(回路設計超初心者の私が勉強した覚書です)
Rの求め方 (回路設計超初心者の私が勉強した覚書です)
ブリッジダイオード後の電圧は、約1.3倍または約1.4倍-1.4なので260V。取説では264V
D-S間は7V以上必要なので、B電圧は264 -7 = 257Vとなる。
G-S間V2は1V~3V高いので、V2=260Vと仮定する。
流れる電流Iは、
I = 260V÷1.5MΩ = 260÷ 1500,000 = 0.000,173A
R = ( V1- V2 ) ÷ I = (264-260) ÷ 0.000,173 = 23,121Ω =23kΩぐらい
簡易エフェクター機能回路ってなんだ?
8Ωスピーカーをはずして、本機を別のメインアンプにつなげることができ、エフェクターのように使える機能です。
エフェクターとして使える点が便利ですが、トランスがついていないプリアンプタイプのエフェクターと同等かというと意見の分かれるところです。
でも、面白いと思います。アンプにもエフェクターにも使えるなんて欲張り機能ですから。
2023年版
ヘッドフォーンはつなげるの?
イヤフォンのインピーダンスよると思います。確認していません。
ヘッドフォーン用の簡易回路図は以下の例があります。
よく見ると違います。エフェクター機能回路の場合は、トランスの後にインピーダンス8Ωスピーカーのダミーとして実抵抗の8Ω10W(本機では5W)がいれていあるところです。
内部配線です(2021年もの)
(写真は古いものです。現在改装追加製作中で完成次第交換します)
ラグ版の配線(2023版)
電源部です。抵抗は。1/2W です、1/4Wサイズと同じカーボン抵抗です。秋月で全部入りを買いました。
本来のアンプでは2W~5Wの抵抗を使うところです。このアンプでは大丈夫のようです。
アンプ本体部です。
エフェクターout部分です。
接触防止のため、イラックスチューブ’黒おかぶせています」。シャーシのスペースが狭くラグ板取り付けはやめました。
態配線図 2023年版
(PCでは、クリックで拡大します)
オシロスコープで波形観察
以下測定目的ではないです。真空管ギターアンプ特有の歪み系を波形で見てみたい。ということです。
オーディオアンプではありえない波形ですね。周波数特性も今のところ必要ないかな?
★サイン波1kHzあたりを入力したときの出力の様子
オシロ画面の黄色が出力信号、青が入力信号。
ギター音の範囲内 1kHzだけ表示します。
ギター出力信号電圧(AC) 20mV rms~数Vrms ぐらい と言われているので、1V未満で入力しています。
*トーンOFFにしたチャンプ5F1風の場合
ゲイン(ボリュウーム)のツマミを7程度にしたときまで、ここまではほぼサインカーブです。(少しきてます!)
ゲイン(ボリュウーム)のツマミを8程度にしたとき
特有の歪が始まりました。
フルテン(10)にしたところ
思いっきり歪み波形です。
クリップのスイッチをONにすると (ゲインボリュームは5)
これがクリップ波形。エフェクターのディストーション?ファズ?ってこんな感じ?
振幅が小さくなり、音量は下がっています。
トーンスイッチをONにすると(ボリュームは5)・・・5F2のトーン回路と同じ
トーンを下げると
音量も下がっています。サイン波形です。
トーンを上げると
トーンのことは次に。
シミュレーションソフト LTspice で波形観察。
まだ勉強を始めたばかりです。初心者にとって一番の悩みは? …。
無料で使えるけど、いざ回路図を作成しようとしてもモデルとよばれるパーツ(真空管、トランジスタ、トランス、ボリュームなど。)が少なくて、基本的には自分で製作するらしい。
真空管については、有名な方が
モデルと呼ばれる真空管、トランジスタ、トランス、ボリュームなどなど基本的には自分で作成しなくてはならないLTを勉強中です。
Fender 5F2のトーン回路と同じ簡易版
キットの回路図と一見違うように見えますが、同じです。
高音を増減させるトーンコントロール回路です。
オーディオのCRトーンコントロール回路の高音ブースト部分と同じです。ボリュームとつながっている点とCの値が違います。
簡易トーンコントロールのかわりに、
100pF~200pF前後のコンデンサ1個だけのブライト回路にスイッチを付けるのも増減はできませんが、試してみるのも面白いかも。
ただし、フル音量にしたとき、高域の周波数の信号まで素通りしてしまうので、ブライト効果はなくなります。
詳細は、林正樹氏の本P217、または、9 トーンコントロール、https://hayashimasaki.net/tubebook/tubebook18.htmlにあります。
Fender AA764 タイプのトーンコントロール回路に改造も面白いかも
Fender AA764(middleなし) などは、その後のFenderトーンスタックの原型となったようで、middleトーンもついて 以下がFenderのトーンの典型の一つです。
Tone Stack Calculator(フリーソフト) TMBのバーはマウスで動かせます。回路図のパーツをダブルクリックすると数値も変えられます。
AA764 トーンコントロール回路をつけてどうなるかも、面白いと思います。
もし CHAMP 5F1 タイプ と切り替えるスイッチを付ける場合は、プレートからあとのギター信号を繋ぐコンデンサーがついてないと。。。(後ろ側だけスイッチをつければいいかな?)
失礼!1000pF = 0.001μFの間違いです。後日訂正します。
ゲインがさらに下がる気がしますが。。。
スピーカーは、8Ω 5W以上で で小口径の方が練習向きかも
写真のキャビネットは Orange のPPC108です。8インチスピーカーです。
これでもかなりな音量がでます。
スピーカー交換してあります。
Jensen P8R アルニコ 8インチ 25Wです。
PPC108で交換すると奥行の部分がぎりぎり入ります。
C8R フェライトマグネット なら余裕ではいると思います。
これでこの0.1Wアンプを使うと、結構大きなの音量となります。
庶民的マンション・アパートでは、フルテンは近所迷惑になるかも。
メモ
出力トランスGF-02S は、8Ωしかありません! スピーカーも8Ωでマッチします。
4Ωでもなりますが、アンプに負荷がかかります。(長時間使っていると最悪壊れるといわれていますが...今のところ体験談はしりません)
(逆に4Ωアンプを8Ωスピーカーでならすことはアンプに影響はありません。ただ音量が下がります)
12AX7 シングル チューブ ギターアンプ GA-01R の面白さはシンプルさにあり!チューブギターアンプの基礎も学べます!
はじめてゼネラルトランスのサイトを見たときに驚きました!
12AX7だけのアンプ? プリアンプじゃないの? 12AU7ブースターと同じようなものじゃないの?
違うんです。スピーカーでならせるのです! つまりちゃんとした真空管ギターアンプ(ヘッド)です!
その秘密は、出力トランス GF-02S にありました。
写真は自作のシールを貼ってあります。
秘密なので 1次側のインピーダンスは何Ω? 非公開です。
単品での販売もしています。
完全自作したい方は、出力トランス GF-02S だけを購入すれば、あとは手持ちのパーツで作れます。
ゼネラルトランス アウトプットトランス GF-02S https://www.gtrans.co.jp/SHOP/GF-02S.html
有名なChamp 5F1 ! シンプル イズ ベスト! ですね。
プリ菅12AX7の電圧増幅回路(プリアンプ部)によってギター信号電圧が増幅され、パワー管6V6GTの電力増幅回路(パワーアンプ部)でさらに電力(パワー)を上げることによりスピーカーを鳴らします。
5W出力です。
基本回路は同じで、これにトーン回路がついたものが、Princeton 5F2 Champ AA764 です。
パワー管としてEL34(6CA7)、EL84(6BQ5)、6L6GC, などの増幅回路にしてさまざまなアンプ(シングルSEとプッシュプルPPがある)ができています。
どのチューブアンプでも、ほとんど12AX7をプリ菅(複数本のもあり)として使っています。
なので、GA-01Rは、チューブギターアンプを手軽に作って学べるベストなキットだと思います。
改造に使ったパーツの購入や参考になる本
パーツの多くは、スイッチクラフトやポット、チキンヘッド、CR類は、
桜屋電機 https://www.sakurayadenkiten.com/
Garrettaudio https://www.garrettaudio.com/
秋月電子通商 https://akizukidenshi.com/
MOS-FET(FQP2N60C)リップルフィルター回路部の部品は、共立エレショップ https://eleshop.jp/shop/
2020年にエフェクター機能追加の際、ぺるけ氏の本で紹介されているFET(2SK3767)は、千石電商にあります。https://www.sengoku.co.jp/
MOS-FETリップルフィルター回路の参考書は、電子工作マガジン2020 WINTER、2021 SPRING、2017 WINTER
真空管アンプの素 / 木村 哲【著】
などです。
MJの2020年2月号には、キット紹介のレポートが載っています。
まとめ
昔から単球でスピーカーを鳴らせるラジオなどがありましたが、シンプルでお金をかけず工作して音が出たときは感動しますね。
実際に製作してみて、気を付けたいことがあります。それは小型で軽量すぎるため、落として壊さないことです。
とくに写真のようにキャビに乗せたりなどして、ギターのシールドを引っ張ったりすると簡単に落下します。抜くときもシャーシをしっかり押さえてから。ご注意を。
も一つ、裏ぶたがついていないので、持ち運ぶ際やシールドを抜く際に、内部の配線に指が触れると感電します。
電源を切ったばかりだと、電解コンデンサーに電気がたまっていますからそれが放電します。
今後も家庭用の小出力の真空管ギターアンプの製作していろいろと実験・演奏してみたいと思います。
ぜひお試しあれ。