真空管ラジオ

ナショナル国民受信機 Z-20型 真空管ラジオ レストア

(2008年8月17日の私の別ブログ記事を移動再編したものです。現在、本ラジオはお譲りしました。)

Z-20型ナショナル国民受信機 をレストアしました

ラインは、56-26B-12A-12Fの並四ラジオです。
サイズが幅30cm高さ20cmと横置きタイプとしては小型なラジオです。

当時の広告

発売開始は、昭和13年(1938年)で、33円

「健康家族の建設で国力戦に一意邁進!」と当時の広告にあります。
「ラジオ体操の会・・・8月1日より・・・奮ってご参加ください。」の案内も。
ラジオの役割の一端が伺えます。

当時の人たちは、このようなラジオを外に持ち出して、みんなでラジオ体操していたのですね。

私も小学生の夏休みに、参加ハンコをもらいたくて毎朝小学校や近くの公園で開催しているラジオ体操に参加していたことを思い出しました。当時はトランジスタラジオだったでしょうか?

 

レストア後の写真です。

 

 

 

 

回路図です。

 

水魚堂の回路図エディタ ビースケBSch3V 私が作成したものはこちらからダウンロードできます(紛失のため現在作成中です)

私の「回路図」ページにリンクしております。

レストアしての音など状態は?

さて、音の方は?
56を交換したのですが、電源を入れてしばらくは、どうも再生が安定しません。
急に大きくなってひずんだり、また小さくなったりで、再生つまみを調整し続けなければならないです。だいぶ時間がたつとだいぶ安定してきますが、もっとよい56に交換が必要でしょう。
マグネチックスピーカーらしい乾いた音(今時のスピーカーのように周波数帯域は広くないです。とくに低音域。)です。
感度・音量も、再生つまみで調整してあげていくとひずむので、ほどほどです。

レストア記録です

 

入手直後の状態です。


 

シャーシ内部の状態

今回の欠品は、裏蓋だけ。真空管もそろっており、使えそうです。

シャーシ内を見ると、まず平滑チョークを使用しています。
関連するWEBサイトによると、3:1トランス結合となっていますが、
これを見る限り、ありません。発売時期によって違ったのでしょうか?

変わっているのが、電源トランスの止め方。なんと割ピンで固定しています。

もう一つが、ヒューズがシャーシ内部にあること。切れたときには、背面にある
銘板がふたとなっており、ねじをはずして交換するようになっています。

分解・洗浄・塗装

配線回路をチェックしながら、分解開始です。

洗浄のため、ほとんどのパーツは取り外します。

シャーシとトランスはさび多かったので、洗浄後さび取りをある程度してからシルバー塗装しました。
シャーシの上にある四角いケミコンは、外観を変えないようにダミーとして残しました。同じくシルバー塗装です。

配線

配線。これは、オリジナル回路に戻しました。
おそらく、チョークと3:1トランスが断線したのでしょう。過去に修理されたようです。
平滑チョークは、つけたまま3kΩが代用されていました。ここは、新品のチョークに交換。3:1トランスは取り外され、CR結合に回路変更されていました。ここも、新品の3:1トランスを購入してトランス結合に戻しました

CR類は、すべて新品に交換します。

とくにケミコンは、万が一使用できても、破裂する可能性がありますから、必ず新品のチューブラタイプのケミコンに交換しました。

火入れ 電圧等チェック

整流管12Fを抜いたうえで、他の真空管を指して電源を入れます。角箇所の電圧いかをテスに問題がなターでチェックしました。

また、半田付け不良がないか目視とテスターでの通電チェックもしました。

いづれも問題なしです。

火入れ

アンテナ線は、10mの線材を室内壁にそって張り巡らしてあります。

再生つまみを回しました。

何も検波してきません。つまり真空管56に問題あり!

真空管チェッカーは持ち合わせていないので、可能性として考えられるのは、

真空管56のエミ減

予備のものがありましたので交換しました。

再度、再生つまみを回します。

なる予感...

しかし、バリバリ!とうるさいこと!!

今度は、バリコンを疑いました。

バリコンをよく見るとフィンが等間隔に並んでなくて曲がりが多数。

調整を試みました。

分解して曲がりを修正したりしたのですが、少しましになった程度。

こういうのは、苦手です。

やはりバリバリ音は変わらないのであきらめました。

運良く、全く同じバリコンを入手できたのでそれに交換しました。

今度は無事検波しバリバリ音もなく鳴らすことができました。

さて音の方は?前述のとおりです。

ここをクリックすると上記の場所に飛びます

箱の仕上げ

スピーカーのサランネットの交換です。

サランネットは、いつもアメリカの「Antique Electronic Supply」https://www.tubesandmore.com/  で購入しています。

このサイトでは、「Grill Cloth」と検索すると見られます。

 

ヤフオクでも昔のラジオにあったクロスが出品れていますので、探してみるのもよいと思います。

り付けには、木工用ボンドで済ませています。

木製キャビネットの状態はかなり良かったので、ワックスがけだけにしました。

家具専用のワックスでホームセンターで買ったものです。

その他の仕上げ

いつも凝らしているのが、電源コードです。

昔ながらの袋打ちコードとむき出し丸型コンセントです。

私が入手したのは、ヤフオクで『アンティーク調のねじれ布製(袋打ち)ACコード』『◇袋打ちコード(ねじれ) レトロ風電源コード 切売◇』として出品されていたものを各出品者さまより購入しました。

現在は出品されていないようです。(2019.6時点)

キーワードを「アンティーク 袋打ちコード 布巻きコード」で検索すれば、お気に入りが見つかるかるかもしれません。

コンセントは、当時同じくヤフオクで出品されていたものを購入しましたが、現在では新品「ポニーキャップ」としてAmazonでも販売されています。

袋打ちコードやコンセントは、元の状態が良ければ、再利用できますが、とくに袋打ちコードの場合、中の線材に経年劣化がある場合もあるので新品または保管状態のよいデッドストックを探したほうが良いかと思います。

             

まとめとレストアについて

この「Z-20型ナショナル国民受信機」をレストアしてみたくなったきっかけは、真空管ラジオ製作で有名な方のサイトを拝見させていただいてからです。

サイト名「古典ラヂオの収集と修理真空管ラジオの製作」内田先生 http://radioshounen.com/

内田先生とは、10年ほど前にサイトに掲載されているZ-20の回路図について質問させていただき、お返事をいただいたこともあり、現在もサイトを参考にさせていただいております。

レストアをする楽しみは、昔使われていたものが、現代によみがえるということにつきると思います。そこで、修復・復元作業が行われるのですが、この仕方は、個人の好みでよいのではと私は思います。「完全オリジナルでないと意味がない!」という人と「レトロなところは残しつつアレンジを加えるるのが面白い!」と様々かと思います。

AMラジオに関しては、AM変調方式をFM変調方式に転換する方向へと話し合われているとのこと。、早ければ2019年の秋にも制度として決定するかもしれないとのこと。そうなるとAM検波できなくなります。レストアも自ずとFM検波できる方策を考えざるを得ません。

現在の私は、レストアラジオをモノラルアンプとして利用することもしています。スマホのradiko(ラジコ)の放送をBluetooth(ブルートゥース)で飛ばして、あたかもラジオ本体が検波したかのようにスピーカーから音を鳴らすのです。radikoですとオンデマンド放送(例えば「ラジオ深夜便」)を好きな時間で聴いたり、音楽を聴いたりとしています。別記事として後日ご紹介いたします

 

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